私がおります定義如来西方寺というお寺は仙台駅から車で約1時間の大倉というのどかな山深い地区にございます。この大倉で5月末に毎年恒例の地元の小学校と地域合同の運動会がありました。私も卒業生のこの小学校は現在全校生徒が10名で、来年度から近くの小学校と統合する事になっています。この小学校としては最後の運動会になりました。
ダムのほとり、四方を山で囲まれた自然豊かな校庭、突き抜ける様な青い空、そよぐ風、本部席横には地域ごとの白いテントが連なり、老若男女が地区対抗で色々な競技を行います。その合間に子供達の徒競走や綱引き、リレーなどが行われ、10名の子供達はこれまで一生懸命練習してきたことを力一杯表現していました。
その一生懸命な姿を見る地域のおじいちゃんおばあちゃんの眼差しは、とても暖かくまるで自分の子や孫を見るかの様です。毎度子供達の一挙手一投足に、暖かい声援や拍手が起こります。リレーの時ある子の靴が脱げてしまいました。そんな時でも『ガンバレ、ガンバレ、あきらめるな!』とたくさんの声援が飛び、その子は靴を履き直し全力で完走しました。今回がこの小学校での最後の運動会かと思うと、なんとももったいない思いがするぐらい、とても良い運動会でした。
今月の浄土宗カレンダー、『ここにいるよ あなたを想っている』という言葉を聞いた時、私の心に浮かんだのはこの運動会での子供達を見守る地域の人々の暖かい『眼差し』でした。
浄土宗を開かれた法然上人(ほうねんしょうにん)のおっしゃったご法語に、『衆生(しゅじょう)、仏を礼(らい)すれば、仏これを見給う。衆生、仏を唱(とな)うれば、仏これを聞き給う。衆生、仏を念ずれば、仏も衆生を念じ給う。』とあります。これは私たち一つひとつの行為に阿弥陀如来さまが応えてくださるというもの。阿弥陀さまと我々(衆生)は親子のような強いご縁で結ばれている事をお示しくださいました。
阿弥陀さまだけでなくご先祖さまも極楽浄土の世界から、まさに暖かい眼差しで『ここにいるよ あなたを想っているよ』といつもあなたを見守ってくださっています。
8月は月遅れのお盆の季節。お墓参りをする方もたくさんいらっしゃる事でしょう。どうぞその時も暖かく見守ってくださる阿弥陀さまやご先祖さまに思いを馳せながら、手を合わせ南無阿弥陀仏のお念仏をお称えしましょう。
そして、身近な方や、離れて住んでいるご縁の方々にも思いを寄せ、普段言えない感謝の思いをお伝えしましょう。
なむあみだぶつ
西方寺 住職
2019.8.1 23号