夜に外に出てみると、鈴虫の声が聞こえてきて、ひんやりとした風を感じるようになってきました。
ここ定義の五重塔の境内には池がありまして、たくさんの鯉が泳いでいます。週末となると子供たちが池の縁でえさをあげる光景をよく目にします。鯉がおれも!おれも!とバタバタとえさに群がります。結構な迫力です。その一方で、遠くの方ではゆうゆうと泳ぐ鯉がいて水面に写っている景色がゆらゆらと波打ちます。
さて今回はここで和歌をひとつ。
池の水 人の心に 似たりけり
にごりすむこと さだめなければ
いかがでしょう?今から800年前の鎌倉時代に浄土宗を開いた法然上人(ほうねんしょうにん)のお詠です。池の水は人の心に似ています。時に濁ったり時に澄んだり定まることがありません。先日私も自分の思う通りにいかないことがあった時、突然ぐらっと怒りがこみ上げてきた、そんなことがありました。生活しておりますと心が濁ったり澄んだり、その連続ですよね。そんな私たちだということをしっかりと自覚して仏様に手を合わせ(浄土宗では阿弥陀様にお念仏をして)生活しましょうということを教えていただいております。
どうぞ仏さんに依りながら心の池も穏やかでいられますよう。良い一日をお過ごし下さい。
なむあみだぶつ
西方寺住職
2017.9.18