ひとすじの道
こんにちは。日に日に山の緑が深くなってきました。五重塔の紫色のアヤメが大変きれいに咲いています。
門柱から大本堂へと続く参道には、新たに白い石が敷かれてひとすじの白い参道が出来上がりました。
白い道ということで思い出すお話があります。中国の高僧、善導大師(ぜんどうだいし)の『二河白道』(にがびゃくどう)というお話です。
※本堂の二河白道(にがびゃくどう)の掛け軸
ある旅人が恐ろしい盗賊から追われてきたところ、目の前には大きな川があり、真ん中には細く白いひとすじの道がある。ただ道の片方には波がうねり、もう片方は炎が海のように広がっている。とても渡ることができない。しかし、その白い道のはるか先には極楽浄土という安らかな世界がかすかに見える。
そんな時、西にあるその極楽の世界から阿弥陀様が私を信じ我が名をとなえ、こちらに来なさいといってくれている。自分の後ろ(東の方角)からはおしゃか様がそれを信じて行きなさいと声をかけてくれている。その旅人は言われた通り、仏様を信じ、わき目を振ることなくただただその白い道を進み、ついには極楽浄土へとたどり着く。
ここに出てくる二つの川の『波』や『炎』は人間の煩悩を現し、白いひとすじの道を歩むことによって清浄なる心(願往生心)が生まれることを現しています。
私たちは、日々生活をしていますとその時々で池の水面の様に、感情が波立ったり穏やかになったりいたします。
なむあみだぶつと手を合わせ、阿弥陀様に依るという『救いの道』を教えて頂いている私たち、今月もどうぞ阿弥陀様によりながら、明るく前向きに生活させていただきましょう。
白い参道を通る時、このお話を思い出していただけたらありがたいことでございます。
なむあみだぶつ
西方寺 住職
2019.6.2 21号