こんにちは。7月を迎えました。今年もお寺の寺務所の軒先にはたくさんのツバメが帰ってきました。毎日子育てをしている様子が見えます。たまにちょんと顔を出している赤ちゃんの姿にこちらもこころ癒されます。
さて、今月は『一日一感動』というテーマでお話しさせていただきます。
先月は衣替えということで、我々僧侶のまとう衣も、夏物になりました。今年はたまたま衣が新しくなりました。真新しい衣の箱を開け、その衣に袖を通してみると、独特の新しい香りがしました。その香りを嗅いだ時、私の頭の中に昔の記憶がぶわっと蘇ってまいりました。
それは、今から23年前、自分が僧侶として初めて衣をいただいた時のことです。真新しい衣が嬉しくて嬉しくて、その衣を着て、一番見せたかった自分の祖母に見せにいきました。祖母は涙を流して一緒に喜んでくれました。その時の祖母の表情や周りの情景がはっきりと心に出てきて、胸が熱くなりました。
6月初めの新しい衣での法要は、祖母に護られているようで、魂が震えるような温かい気持ちがして、自然と涙が出てきました。私にとっては、普段の何気ない事からいただいたありがたい体験でした。
感動する事は私たち人間に与えられたありがたい感情。一日一感動、自然の山を見渡すもよし、道に咲いているたんぽぽを見るもよし、身の周りには当たり前のようで、たくさんの奇跡や心を動かされる物事があるのだと思います。時々立ち止まり、ゆっくりと呼吸して、目の前のことをじっくりと味わってみましょう。すると自然に相手や物事、様々なことに感謝の念が湧き上がってまいります。
今月もどうぞ如来さまに手を合わせながら、穏やかにゆるやかに。
なむあみだぶつ
西方寺 住職
2020.7.2 34号