おはようございます。6月を迎えました。境内はツバメの子育てが真っ盛り、これを書かせてもらっている今もひなの声がひっきりなしに聞こえてきます。山々の新緑とともに生命の息吹を感じます。
先月の連休は、制限も減り、色々なところへお出かけされた方も多かったのではないでしょうか。ここ定義にもたくさんの方がお参りされました。その中には何年かぶりに訪れたという方もおられたようです。
連休に来られたある80代の女性のお話しです。この方は20代で宮城から中国地方にお嫁に行かれ、今回久しぶりの里帰り。お墓参りをしながら、子供の頃に両親と来た定義に実に60年ぶりにお参りすることになったそうです。
ダムを越え、山間の道を通って定義に降り立ちましたが、最初はあまり当時のことを思い出せなかったとのこと。しかし、旧本堂(貞能堂)の中にお参りした時、その雰囲気や線香の香りから一気に記憶が蘇り、子供の頃、両親に連れられお参りした時の情景が、ありありと心に浮かんできたそうです。
人間の意識というものは不思議なもので、目の前の様々なことをきっかけに思いもよらず、忘れていた当時の記憶が湧き上がってくることがございます。この方は定義の如来さんのご縁で、当時のご両親との時間を思い出されました。本当にここに来れてよかったとその心情を涙ながらに我々に語ってくださいました。
ありがたいお話を聞かせてもらい、私自身も素直にその時々で感じる事を大切に生活させていただきたいなと思った事でした。
風薫る6月も、なむあみだぶつと手を合わせ如来さんのお護りをいただきながら、明るく軽く参りましょう。
なむあみだぶつ
西方寺住職
2023. 6.1 69号