こんにちは。10月になりました。ここ定義は朝晩、大分涼しくなって参りました。鈴虫の声が聞こえます。
そのまんまの自分にありがとうと言うことでお話しさせていただきます。
私は8月の末に南米に行く機会があり、そこで色々な体験をさせていただきました。中でも、ペルーのインカ時代の遺跡を見に行かせてもらった時のこと、現地の博物館で遺跡から出土した一つの大きな織り物に出会いました。
千年以上前に作られたその織り物には、人の手だけがたくさん描かれています。よく見ると、真ん中に一つだけ指が6本ある手が描かれていて、他はその手を大事に取り囲むように描かれています。
研究されている方によると、当時の文化では、他の人と体の形が違って生まれて来た方を、神様から選ばれた特別なお役目がある個性だと、社会がとても大事にしていたことが、その事からも分かるそうです。
私はそのお話を聞いてとても心が温まりました。我々は、唯一無二の存在でそれぞれの個性や心を持っています。遠い古代に人そのままの個性を尊重し、社会が大事にしていた。素晴らしい文化だと感じました。
ある和尚さんに、生活の中で必要以上に自分にラベルを貼っちゃいけませんよと言われたことがあります。どんなラベルかというと『くらべる』というラベル。私も自分のことを人と比べると途端に心が重くなることがありました。そんな自分に気がついたら、そのまんまの自分もよくやっている、ありがとうという思いに切り替えてみると、心がほっこり感謝の方に向かいます。時にそんな自分をそのまんま認め、ありがとうとねぎらってみましょう。
秋が深まる10月、どうぞ今月もなむあみだぶつと手を合わせ、如来さんのお護りをいただきながら明るく軽く参りましょう。
なむあみだぶつ
西方寺住職
2023. 10.1 73号